セカンドオピニオン-2:手術依頼
当クリニック院長氏家医師への手術依頼をするための外来です。開頭術は氏家院長が担当しますが、血管内外科は原則として兵頭先生(獨協医科大学特任教授)に依頼いたします。 自由診療となるため、予約料、診察料がかかります。 他院にて手術が難しいと言われた方、ご相談ください。 鎌ケ谷総合病院での手術件数も増え、手術顕微鏡、手術器具も完備され、以前と同じレベルの手術が出来ると確信しました。鎌ケ谷総合病院ではskin to skinの手術(皮膚切開から皮膚の縫合まで一人で行うと言う手術方式)を行っています。 すべての脳神経外科の手術は、いわゆる大怪我をして、身体の内部特に頭蓋骨や脊椎の中の中枢神経系を病変から救うという手段です。 貴方が悩んでいる疾患は下記の中にありますか。
脳腫瘍
悪性と言われた(多発性膠芽腫、星細胞腫) 脳腫瘍のような邪魔なものが出来て正常な脳組織を圧迫する場合には、これを摘出しなくてはなりません。最も難しい腫瘍の手術は、腫瘍が浸潤性で正常な脳組織に入り込んで正常組織との境界がわからない場合で多く場合悪性脳腫瘍です。浸潤性腫瘍の代表は多発性膠芽腫です。言語中枢や運動野近傍に腫瘍がある場合は、覚醒下手術を行います。浸潤性腫瘍の場合、すべての腫瘍を切除することは難しいことがあり、腫瘍が残存した場合には、術後に抗がん剤での治療を追加します。 良性と言われた(髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腺腫) 良性脳腫瘍であっても、腫瘍が大きく、硬く、そして易出血性の場合は、手術の難易度は上がります。良性腫瘍の場合、脳組織との境界が明瞭であり、腫瘍が柔らかく、出血をしないケースは、手術は100%に近い確率で上手くいきます。ですからこのような三つの悪条件(大きい、硬い、易出血性)を避けるのが賢明です。腫瘍への血流が多いときには事前に血管内外科で腫瘍を栄養する動脈の塞栓術を行います。 特に髄膜腫では術前腫瘍塞栓術は素晴らしい方法です。腫瘍を栄養する動脈の血流を遮断することによって、開頭摘出をするときには出血が少なくなり、さらに腫瘍は血流が遮断されたために酸素や栄養が行かなくなり壊死に陥り、柔らかくなります。硬い腫瘍であっても出血がなければ、超音波メスで容易に摘出できます。超音波メスは頭蓋骨も切除できます。 聴神経腫瘍は1cm前後では自然消失するときがありますので、経過を見て成長する場合にはγナイフを勧めます。腫瘍が3cmを超えて、嚢胞を持つ場合には、開頭摘出術を行います。腫瘍に顔面神経が強く癒着している場合には、顔面神経が残存させるために腫瘍を残す必要があります。このようなケースでは術後にγナイフを行います。 下垂体腺腫は現在では薬で治療できる場合もあります。外科的治療は鼻腔を通って、トルコ鞍に到達し、トルコ鞍底を切除して直視下に腫瘍を摘出します。脳下垂体腺腫の手術は内視鏡を用いた方が成績は良く、この手術の日本の権威者、日本医科大学附属病院、田原重志准教授に依頼します。
海綿状血管腫
海綿状血管腫は脳腫瘍ではありません。血管壁の細胞の異常により、静脈性の血管腫が出来る病態です。この血管腫が脳幹部の深いところに出来た場合、徐々に成長し周囲の正常脳組織を圧迫し、片麻痺やモノが2重に見えるといった症状を出します。私が最も得意とする手術で、脳幹の切開は5mm以内、この小さな傷から脳幹内の血管腫を摘出します。このとき脳幹にある大切な神経核や神経線維を傷つけないようにモニタリングを行いながら摘出をします。手術後徐々に神経症状は改善します。
脳動脈瘤
脳動脈瘤の治療は、血管内外科によるコイリングを行う場合と、開頭によるクリッピングを行う場合が有ります。現在ではコイルやステントの研究開発が進み、素晴らしい医療道具がそろっており、開頭では難しい脳底部へのアプローチは非常に楽になっています。コイリングかクリッピングか、兵頭先生(獨協医科大学特任教授)と相談し、安全な方をお勧めいたします。
脳梗塞
脳梗塞に陥ってしまった大脳などの中枢神経を救う手立ては、現在の医療にはありません。脳梗塞は多くの場合、大脳に酸素、栄養を供給する動脈の閉塞により生じます。内頚動脈や中大脳動脈の重度狭窄、閉塞に起因すること多く、血行再建術いわゆるバイパスを作る場合と、狭窄部位の動脈修復としてステント留置や内膜剥離術が有ります。大脳への血流がどの程度流れているか、動脈の狭窄性病変がどの程度あるか検討してから適切な術式をお勧めいたします。脳血管のバイパス術は約1.5mmの中大脳動脈に1.5mmの浅側頭動脈を縫い付ける手術です。ただ縫うだけでなく、血液の流れを再建するためには、縫ったところが狭くなりすぎていないこと、縫い目が粗いと血液が漏れますので0.3mm間隔で縫う技術が必要です。そして縫っている間血管には血液が流れないので、素早く縫う必要があります。長くても30分以内に縫って、血液の流れを再開しなければなりません。この技術を私が習得したのは、脳外科医になって3年目で、ラットの頸動脈で指導医(今でも思い出しますが中原先生のもとで)のもと幾度となく練習をした後です。しかし今ではどこでも縫える技術を持っています。バイパス術が必要だと言われた場合、心配なときには是非ご相談ください。
三叉神経痛、片側顔面けいれん
脳神経減圧術という手術を行います。三叉神経痛では三叉神経に食い込んでいる上小脳動脈の走向を変えて神経への食い込みを解除し、2度と神経を圧迫しないように固定します。上小脳動脈を固定するときに理化学研究所で研究開発したion beam implanted ePTFEを用います。三叉神経痛の場合、手術時間は2時間程度で、手術合併症はほとんどなく、麻酔から覚めた瞬間に顔から痛みが消えたのを実感できます。
脊椎圧迫骨折
骨粗鬆症が基礎疾患にあって尻餅をついたときに、腰椎の椎体に圧迫骨折を起こします。すぐに椎体が潰れてしまう場合と、つい胎内に出血し1ヶ月くらいの間に潰れてしまう場合があります。いずれにしても腰椎の背側から椎体につながる椎弓根を通して人工骨であるリン酸カルシウム(人の骨の成分と同じ)のペレット、潰れた椎体の中に注入し、2度と圧迫骨折をしないように補強します。手術時間は20分程度で、術後腰の痛みは消え、良く時にはトイレまで歩いて行けるようになります。
Failed back surgery syndrome(腰椎手術後に改善しない腰痛)
椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変性すべり症等の診断で、手術を繰り返したあと、術後に強い腰痛が残存した状態です。腰椎の手術の10%程度に起き、色々な原因が考えられていますが、慢性腰痛の経過をたどり薬剤抵抗性の痛みが特徴です。年余に渡って腰痛が続き、痛みのために歩行も出来ない場合、ご相談ください。痛みの感覚は末梢の知覚神経から脊髄を通って、大脳に伝達され、痛いと言うことが認識されます。脊髄の神経を痛みの信号が通ると行き、それは電気信号として伝わっていきます。脊髄を通る電気信号に、電気刺激を与えて痛み知覚を変える方法が、spinal cord stimulation (脊髄電気刺激)です。痛みは私たちの日常生活活動を著しく損ないます。spinal cord stimulation (脊髄電気刺激)は簡単な手術ですが、簡単に行い結果を出すためには経験が必要です。繰り返した腰椎の手術、耐えがたい腰痛に悩んでいる方、ご相談ください。
絶対効果のある手術とは
以上簡単に私の行う脳神経外科手術を説明しましたが、皆さんに最も役に立つ手術は、三叉神経痛と圧迫骨折と耐えがたい腰痛failed back surgery syndromeの手術です。三叉神経痛は手術直後から痛みが消えたのを実感できます。また、圧迫骨折では術直後から耐えがたい腰痛は消え、 翌日には歩くことが出来ます。腰の手術後多くの場合一回でなく数回、薬でもリハビリでも改善しない腰痛には脊髄電気刺激が有効です。是非ご相談ください。